身体障害者野球の歴史

身体障害者野球は、1980年代前半から現在まで約40年以上の歴史があります。

故・岩崎廣司氏が身体障害者野球チーム「神戸コスモス」を1981年に創設したのが始まり。

岩崎氏は左足に障害を持っており、入院していた医療施設に阪急ブレーブスの福本豊選手(当時)が慰問に訪れたことがきっかけでした。

1993年には岩崎氏を初代理事長とした日本身体障害者野球連盟が創設され、現在に至っています。2020年時点で、29都道府県・37チームが連盟に加盟しており、競技人口は950人以上にのぼります。

身体障がい者野球の登録資格

選手登録の有資格者は身体障害者手帳を所持する肢体不自由者で、年齢・性別関係なく登録ができます。

ただし、聴覚・視覚・内部・言語障害者の登録は不可。療育手帳(※)所持者については1チームの人数制限ありでの対象となります。(※) 都道府県の知事が発行している知的障がい者(および知的障がい児)が補助を受けるために必要な手帳

義足や車椅子・杖が必要な選手、片手の欠損や麻痺が残る選手などが同じユニフォームを着て、共通したルールでプレーする。これが身体障害者野球の特徴の1つです。

また、チームが公式戦に参加するには、日本身体障害者野球連盟へ登録する必要があります。加盟するためには、選手登録者12名以上いることが条件になります。

身体障がい者野球のルール

使用するボールは健常者と同じ軟式球(通称M球)を使用しますが、障がい者野球ならではの独自のルールが存在します。

バントは禁止

身体障がい者野球では肢体にハンデを持つ選手がいることから、原則としてバントは禁止されています。ただし、障がいの度合いによりバントのような動作しかできない選手においては、その打球は有効となります。

捕手の体に触れたらボールデッド

投手の投球時、捕手の体のいずれかに触れたら捕球とみなし、ボールデッド(プレー中断)となります。例えば、ワンバウンドで捕手が手を伸ばし、ボールに届けば捕球と判断されます。しかし、触れずに後ろに逸れるなどあった場合はインプレー(プレー続行)となり、塁上のランナーは1つ進塁可能になります。

盗塁・振り逃げは禁止

盗塁、振り逃げは禁止されています。
ただ、リードはOKなので投手は牽制球を投げることができます。そのため、ランナーが帰塁できなければアウトとなります。

エンドランは戦略のカギ

エンドランは健常者同様、OKになっています。ランナーはエンドランのサインが出たら投球と同時にスタートが可能になります。上述の通り盗塁は禁止されているため、打者が空振りした場合は走者は戻らなければなりません。この間に相手野手からタッチされればアウトとなってしまいます。

身体障がい者野球で得点を重ねるには、走者を次の塁へいかに進めるかが重要なポイントの1つとなります。エンドランでいかに中軸の前にランナーを進める・溜められるかが勝敗を分けると言っても過言ではありません。

お互いのハンデを補う「打者代走」

身体障害者野球の最大の特徴とも言えるのが、打者代走制度。

下肢障がいなどで走塁が困難と認められた選手には、自身の代わりにランナーを指名できます。代走者は、三塁と本塁を結ぶファールラインの延長線からバックネット方向へ1メートル後退した地点がスタートラインです。打者がヒットとなればその打者のランナーとしてそのまま塁上に残ります。

代走者はベンチ入りしていれば、スターティングメンバーでなくても出場可能です。ただし、塁上で打席を迎えることは禁止されており、もし打順が回ってきた際に自身の打席時に塁上にいたらアウトになります。

上位のチームでは、走る専門・打つ専門と役割を明確にした起用をしており、身体障がい者野球の戦略の1つになっています。

【参考】NPO法人 日本身体障害者野球連盟公式サイト:https://www.jdl.or.jp/

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